ミトンブログ

岡山市中区高屋のパン屋、mittenのブログ。

BRED

「BRED」

決してスペルミスではない。

私たちはパン屋。

看板にも書いてある。


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見ての通り、

地味な看板である。

 

「もっと“パ・ン”って、

 でっかく書かないと!」

「パンの絵とかあれば分かりやすいのに!」

 

確かに、

それもそうだなと思う。

もう少し、

目立つ看板にするのもアリかなと

考えたりもした。

 

だが、

2年程前から、

そんな思いが無くなった。

むしろ、

この看板で良かったと思っている。

 

その理由が、

「BRED」にある。

 

まちのパン屋には、

季節の変わり目に

燕がやってくる。

 

そう、

2年程前から。

 

初めはてっきり、

屋根の上に

巣を作っているのだと思っていた。

 

しかし

よく見ると、

いつも

看板のカルプ文字の上で

彼らは寛いでいる。

それも決まって、

「BRED」のところ。

 

「A」は

上の部分が少し短い。

たぶん、

ちょっと手狭なのだろう。

「mitten」にいたっては、

どこもガタガタで落ち着かない。

 

なるほど、

「BRED」は

フラットで足場が安定している。

燕の世界でも

バリアフリーは人気のようだ。

 

巣を作るのが面倒なのか、

燕たちも

ちゃっかりしているなと思う。

 

けれども

突然現れては、

突然いなくなってしまう彼らが、

気になって仕方がない。

 

帰宅前の確認。

今日もいるな。

燕たちの姿に

つい安心してしまう。

 

なんせ彼ら、

店の営業時間中には

姿を見せない。

 

必ず閉店してから、

「BRED」にやってくる。

この律儀なところが堪らない。

 

まちのパン屋は、

今日もパンを作る。

 

私たちも

餌付けをしているわけではないので、

燕に

パンの美味しさは分からないはず。

 

だが、

どういうわけか

看板の「BRED」は

お気に召したようである。

これだけリピートしてもらえると、

さすがに立派な常連さんだなと思う。

とても嬉しい。

 

季節の変わり目に思う。

 

地味な看板にしておいて良かった。

私たちはパン屋。

気付いてくれて

ありがとう。

 

今日は「B」に1名様。
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