ミトンブログ

岡山市中区高屋のパン屋、mittenのブログ。

寝かす

パン屋のブログも

やってみるもんだな。

 

そう思ったのは、

意外と近くに

ファンがいることを知ったからである。

 

もちろん、

パンの話ではない。

 

日本のロックバンド、

くるり』の話。

以前、

このブログでも少し

くるり』について触れたことがある。

 

その後、

ひょんなことから、

ミトンのHP作成を依頼した方も

くるり』の大ファンだと知った。

 

「『くるり』でブログを書いてほしい。」

そう言われたら、

書かないわけにはいかない。

 

というのは、建前である。

書きたい。

パン屋なのに、

ロックバンドについて。

 

2月に

くるり』の新曲がリリースされた。

 

素晴らしい曲だ。

けれども、

今日書きたいのは、

その素晴らしさについてではない。

 

興味深いのは、

この曲がリリースされた経緯。

 

くるり』のフロントマン、

岸田氏によると、

今回の新曲、

7、8年前には既に原型ができていたという。

 

しかし、

何度か録音を試みたものの

上手くいかず、

お蔵入りになった。

 

それから時が経ち、

氏は思ったそうだ。

 

“新しく生み出されるモノが、

いつも最新で、

いつも優れているとは

限らないのではないか。”

 

“いったん冷蔵庫に寝かせたモノも

取り出してみれば、

いい感じに熟成されて

いるのではないか。”

 

そんなわけで、

ずいぶん前から存在した

“新曲”のリリースが、

2018年の2月になったという。

やはり、

その完成度は高い。

 

毎度おなじみ。

考えてみれば、

パン屋も同じようなところがある。

 

パン屋は常々、

今まで誰も食べたことが無い、

斬新なパンを考えている。

 

新しいアイデアは、

今までのモノよりも

絶対に優れていると信じる。

 

けれども、

満を持して発売されたパンが、

空前の大ヒットになるなんてことは、

ごくごく稀な話。

 

「とっておきの新作なのに、

 なかなか上手くはいかないな。」

 

そんなとき、

振り返るのは、

一度閉めてしまった扉である。

 

扉の中にあるのは、

作ってはみたけれど、

「もうダメかな」と

一度は諦めたモノたち。

 

改めて、

それらを取り出して、

向き合ってみる。

 

少し手を加えると、

これが結構、

いいモノになったりする。

 

あのときは

手に取られなかったモノが、

時が経てば

選ばれるようになる。

 

 パンの熟成には、

必ずしも

酵母が必要ではないらしい。

 

これは、

くるり』の“新曲”と同じ。

知らないうちに

熟成が進んでいる。

 

さて、

 『くるり』の新曲、

タイトルは「その線は水平線」という。

 

私たちにとってそれは、

「そのケーキはバナナケーキ」

といったところである。

 

バナナケーキ。

一度は諦めた商品。

寝かせてみるといい感じになった。

 

パン屋のバナナケーキは、

是非とも朝食にオススメしたい。

 

まちのパン屋は、

今日もバナナケーキを作る。

 

決して、

最新でも

斬新でもないが、

今は、

この感じが気に入っている。


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