ミトンブログ

岡山市中区高屋のパン屋、mittenのブログ。

油絵に習う

どうすれば、その魅力が伝わるだろうか。

 

フランスパンの話である。 

 

と見せかけて、絵画の話をしてみたい。

 

先日、『美の巨人たち』というTV番組で、

画家・東郷青児氏の油絵を取り上げていた。

 

ざっくりと内容を説明する。

スポットが当てられたのは、

『望郷』という作品。

『望郷』の特徴は、

油絵とは思えない、

まるでCGのような絵の質感である。

その表現方法は、

日本的な女性の美しさを描くために、

西洋的、古典的な油絵の技法に抗うことで

成されたそうだ。

色を塗り重ねないという、

油絵らしからぬ技法により、

日本の美を表現している。

 

油絵としては、まさしく異端。

しかし、

その絵の美しさは、

今なお、観る人の心を捉えている。

 

さてさて、

フランスパンの話である。

 

まちのパン屋で、

西洋のパン、

フランスパンの魅力を伝えるのは、

なかなか大変だ。

カレーパンやクリームパンに比べて、

初めて手に取ってもらう時には、

少々ハードルが高くなる。

 

どうしても、

フランスパンには、

硬い、食べるのが面倒、といった

ネガティヴなイメージがついている。

 

どうすれば、その魅力が伝わるだろうか。

 

ヒントは

思いもよらぬところにあるはずだと、

いつも探している。

 

そこで今回は、『望郷』である。

 

まちのパン屋は、

『望郷』にフランスパンを重ねる。

 

日本的な美の表現を求めて、

独自の油絵の技法を確立することに、

日本的なフランスパンというものを

重ねたくなるのだ。

 

日本的なフランスパン。

実は、それをずっと探しながら、

少しずつ、少しずつ、

レシピを変えている。

 

その途中、

今回は、一枚の油絵に出合った。

これもひとつのヒントである。

しかし、まだまだ答えは見つからない。

 

それでも今、

確かな思いとしてあるのは、

『望郷』のように、

いつまでも心に残り、

生活に根付くようなモノを作りたい

ということである。

 

まちのパン屋は、

明日もフランスパンを作る。